ありがとう、和田岬線の103系
兵庫県は神戸市にある、ちょっと変わった路線。
朝と夕方にしか電車は走らない。
だが、走っているのは、典型的なローカル線にありがちな短い電車ではなく、6両編成の通勤電車。
それが、JR和田岬線。
神戸市兵庫区のJR兵庫駅から南東に向かい、同区の和田岬駅までを結ぶ、総延長3kmに満たない、小さいようでそうでもない不思議な路線です。
そんな和田岬線で長年ヌシのごとく活躍しているのが、↑の103系です。
1963年に登場、最大で3447両が製造された国鉄を代表する通勤電車です。
東京や大阪、そしてその周辺の多くの路線で活躍し、路線によってオレンジやウグイス色、カナリアイエローなど、バリエーション豊かでカラフルな形式でもありました。
和田岬線の103系はスカイブルー(青22号)の塗装を纏っており、スカイブルーの103系は他に京浜東北線や阪和線などで見られました。特に後者は2018年(※羽衣支線)まで走っていたので、記憶に新しいという方も多いでしょう。
そんな103系も、後継車両の登場により各地で姿を消してゆき、関東ではひと足早く2006年に消滅。
車両を長く使うことに定評のあったJR西日本では、比較的最近まで第一線で活躍を続けていたものの、老朽化には抗えず、103系が走る路線はいまや片手に収まる程となってしまいました。
そんな中の一つがこの和田岬線でしたが、この度のダイヤ改正で、ついに引退。
以前から引退の噂こそあったものの、令和も5年目になるまで、しぶとく生き残り続けてきました。
正直私も、ここまで長生きするとは思いませんでした。
先日入試が終わった私ですが、以前より入試が終わったら最後にもう一度だけ、和田岬線に乗りに行こうと考えていました。
しかしながら、想像以上の混雑が予想されることから、泣く泣く断念。引退の発表があった頃から急激にファンが増え始め、引退2週間前くらいにはホームに溢れんばかりの人だかりができていたようで…
もとより便が少ない路線であるため、人が集中するのは容易に想像できますが、まさかあれほどとは…
103系の希少性と人気度の高さを思い知らされました。
私が和田岬線に乗ったのは、3年前、2020年の夏。
当時から希少な存在となっていたため、友人と共に最寄り駅の始発(5:30前くらい?)に乗って向かいました。
今よりは圧倒的に少なかったはずですが、やはり当時も鉄道ファンの方がちらほら見受けられました。
途中駅はなく、乗車時間も約4分。
短い時間ながら、103系に乗ることが出来て非常に嬉しかったです。
祖母の家が阪和線沿線にあり、割と頻繁に阪和線の103系を見ていた身にとっては、スカイブルーの103系は非常に懐かしく感じました。
引退前にもう一度乗りたかったものですが、後悔先に立たず。かつての勇姿を見返して余韻に浸るとしましょう。
長年活躍した和田岬線の103系ですが、後継車両となるのは207系。個人的には想像通りと言った感じです。どうやら体質改善工事はされないままの導入となるようで、趣味的には今後も注目ですね。
沿線の工場で働く人、
年々希少性が増す国鉄型車両を追う鉄道ファン、
多くの人々を載せて和田岬線で走り続けた22年。
晴れの日も、雨の日も、
淡々と仕事をこなしていました。
先日のダイヤ改正をもって、後輩 207系にその役目を譲った103系 R1編成。
再び和田岬線に帰ることはなくとも、
昨日も、今日も、そしてこれからも、
人々の記憶の中で、走り続けることでしょう。
本当に、ありがとう。
そして、お疲れ様でした。
これからも、大きな事故などなく、平和に走り続ける和田岬線であることを切に願うばかりです。
以上、長文になってしまいましたが、最後までご覧頂きまして誠にありがとうございました。